いきなり飛び蹴りをしてきた不思議な女の子
第6話 最後の図書館
翌日。
僕は学校の机の上に教科書類を置いて、授業の準備をしていた。
「ハクション!」
うーん。ちょっと体調が悪い。昨日、ビルの屋上に長い時間いたかな。
「どうしたの? 風邪?」
香織がちょっと心配そうに聞いた。うん。ちょっとだけね。
「いや。なんとなく悪いだけ。たいしたことない」
「そう。ならいいけど。そうそう、前にスマホで撮った写真、印刷しといたわよ。はい!」
そう言って、香織は写真を差し出した。
前に図書館前で2人で撮った写真だけど、印刷してみるとなかなかいいな。気軽に携帯できるし。
「写真専用の用紙に印刷したんだからね。無くしたらダメだよ」
そうなんだ。じゃあ大事にしないと。
「ありがとう」
そう言って、僕は写真をしまった。
キーンコーンカーンコーン
ホームルームが始まり、続いて授業が始まった。
なんとなく体調が悪いのか、授業が少し長く感じたが、なんとか耐えた。
そして、学校も終わり、その日の夜もまたビルの屋上へ上がった。月が綺麗だ。
昨日は2時間もいたけど、今日はもう少し早く帰ろう。本格的に風邪になってしまったら、やっかいだ。
しかし、昨日と同じで図書館の前を通る人はいるけど、特に何かをしようとする人はいない。
「はっくしょん」
ティッシュを取ろうと、ポケットに手をやった。
ん? なにか違和感を覚えた。
そういえば、香織に写真をもらったんだった。図書館前で撮った写真だが、改めて見るとちょっとぼやけている気もする。まあ、それはいいや。
僕は写真を再びポケットへ戻そうとした。
ひゅ~~~~。
その瞬間、写真が空へ舞い上がった。無意識に写真のほうへ身体が吸い寄せられた。
「あっ」
そう思った瞬間、僕の身体は屋上の柵を超えていた。そして、そのまま落下していった。
???
だが、僕の身体を掴んで逆の方向、つまり上方向へ運んでくれる者がいた。
高坂さんだった。
ただ、かっこよく下から腕を伸ばして助けられたわけではなく、高坂さんも僕と同じ方向、要するに下向きで僕の身体を掴んで、上のほうへ移動していた。なので、顔も近いので、すぐに高坂さんだとわかった。高坂さんの長い髪も地球の重力に逆らって、空のほうへ向かっていた。
これはメモ帳にあった、『月の重力に引っ張られる』ということだろうか。
柵の付近まで来ると、そこで動きが止まった。
「無重力は疲れるのよ」
高坂さんはそう言いながら、くるっと180度回転して、僕をビルの屋上に戻した。
そして、本を取り出した。その本のタイトルをよく見ると、どうやら植物関連のもののようだった。
「ばれちゃったら、月へ戻らないとね。でもその前に本を読みましょう。でも、無重力は疲れるから、どこか逆さに座れるところが良いな」
僕たちは図書館近くのバス停の屋根の下へ来た。ここへ来るまで僕は平気だったけど、高坂さんはやや無重力状態で、ふらふらと付いてきた。
屋根の真下に二人が入った瞬間、僕と高坂さんの重力が反転し、ふわっと浮き上がり、屋根の内側に座るような体制になった。
「そういえば、僕は本を持っていないよ」
「一つの本を一緒に読めばいいでしょう。植物の本だけど、お嫌いかしら」
僕は高坂さんに植物の解説をしながら、一緒に本を読んだ。
そして、いつの間にか寝ていたようで、一人バス停のベンチに座っていた。
翌日。
「おーい」
登校中、香織が後ろから走ってきた。
「今日は図書館へ行くの?」
「ああ。勉強しにね」
香織はきょとんとした顔をした。
「そうなんだ」
僕に勉強することの楽しさを知るきっかけを作ってくれたあの子は、今どこにいるんだろう。
そう思いながら、教室へ向かった。
僕は学校の机の上に教科書類を置いて、授業の準備をしていた。
「ハクション!」
うーん。ちょっと体調が悪い。昨日、ビルの屋上に長い時間いたかな。
「どうしたの? 風邪?」
香織がちょっと心配そうに聞いた。うん。ちょっとだけね。
「いや。なんとなく悪いだけ。たいしたことない」
「そう。ならいいけど。そうそう、前にスマホで撮った写真、印刷しといたわよ。はい!」
そう言って、香織は写真を差し出した。
前に図書館前で2人で撮った写真だけど、印刷してみるとなかなかいいな。気軽に携帯できるし。
「写真専用の用紙に印刷したんだからね。無くしたらダメだよ」
そうなんだ。じゃあ大事にしないと。
「ありがとう」
そう言って、僕は写真をしまった。
キーンコーンカーンコーン
ホームルームが始まり、続いて授業が始まった。
なんとなく体調が悪いのか、授業が少し長く感じたが、なんとか耐えた。
そして、学校も終わり、その日の夜もまたビルの屋上へ上がった。月が綺麗だ。
昨日は2時間もいたけど、今日はもう少し早く帰ろう。本格的に風邪になってしまったら、やっかいだ。
しかし、昨日と同じで図書館の前を通る人はいるけど、特に何かをしようとする人はいない。
「はっくしょん」
ティッシュを取ろうと、ポケットに手をやった。
ん? なにか違和感を覚えた。
そういえば、香織に写真をもらったんだった。図書館前で撮った写真だが、改めて見るとちょっとぼやけている気もする。まあ、それはいいや。
僕は写真を再びポケットへ戻そうとした。
ひゅ~~~~。
その瞬間、写真が空へ舞い上がった。無意識に写真のほうへ身体が吸い寄せられた。
「あっ」
そう思った瞬間、僕の身体は屋上の柵を超えていた。そして、そのまま落下していった。
???
だが、僕の身体を掴んで逆の方向、つまり上方向へ運んでくれる者がいた。
高坂さんだった。
ただ、かっこよく下から腕を伸ばして助けられたわけではなく、高坂さんも僕と同じ方向、要するに下向きで僕の身体を掴んで、上のほうへ移動していた。なので、顔も近いので、すぐに高坂さんだとわかった。高坂さんの長い髪も地球の重力に逆らって、空のほうへ向かっていた。
これはメモ帳にあった、『月の重力に引っ張られる』ということだろうか。
柵の付近まで来ると、そこで動きが止まった。
「無重力は疲れるのよ」
高坂さんはそう言いながら、くるっと180度回転して、僕をビルの屋上に戻した。
そして、本を取り出した。その本のタイトルをよく見ると、どうやら植物関連のもののようだった。
「ばれちゃったら、月へ戻らないとね。でもその前に本を読みましょう。でも、無重力は疲れるから、どこか逆さに座れるところが良いな」
僕たちは図書館近くのバス停の屋根の下へ来た。ここへ来るまで僕は平気だったけど、高坂さんはやや無重力状態で、ふらふらと付いてきた。
屋根の真下に二人が入った瞬間、僕と高坂さんの重力が反転し、ふわっと浮き上がり、屋根の内側に座るような体制になった。
「そういえば、僕は本を持っていないよ」
「一つの本を一緒に読めばいいでしょう。植物の本だけど、お嫌いかしら」
僕は高坂さんに植物の解説をしながら、一緒に本を読んだ。
そして、いつの間にか寝ていたようで、一人バス停のベンチに座っていた。
翌日。
「おーい」
登校中、香織が後ろから走ってきた。
「今日は図書館へ行くの?」
「ああ。勉強しにね」
香織はきょとんとした顔をした。
「そうなんだ」
僕に勉強することの楽しさを知るきっかけを作ってくれたあの子は、今どこにいるんだろう。
そう思いながら、教室へ向かった。


