用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
彼女は胸を押さえ、苦しそうに悶えていた。
声も出せないようだ。
パッと体を見回すが、破損している箇所や血は見あたらない。
(なんだ? 毒か?)
だとしたら、一刻を争う事態だ。
どんな窮地に立たされたとしても、あらゆる可能性を頭の中で巡らせ、その中から最善の一つを選ぶ。王子としてその術を身につけていたアランは、エレインを抱えて城の中へ急いだ。
ニコルに水と布巾を用意するよう命じ、一番近いエレインの部屋に向かうとベッドにその体をそっと横たえる。
「エレイン……、すぐ医者が来るから」
(お願いだ……どうか、持ちこたえてくれ……)
乱れて顔にかかる髪を手でそっと避けると、「殿下」とエレインが声を発した。
「エレイン!」
目を開けた彼女に、さっきまでの苦しそうな表情は見あたらず、アランは驚く。
どうしたのか、と口を開こうとしたのを、エレインが制した。
「殿下、お静かに」
彼女はそう言って、なんでもなかったかのように体を起こす。
「だ、大丈夫なのか」
「私は大丈夫です、なんともありません。今、内密に動かせる手の者はいますか? 時間がないので詳細は省きますが、お茶に毒が混入している可能性があり、倒れた振りを致しました。すると侍女のアンが、謝りながら指輪を抜き取って持ち去りました。おそらく、何者かに脅されている可能性が高いかと。昨日まで家族の体調が芳しくないと帰省していたのです、家族が人質に取られているかもしれません」
「――わかった。後を追わせよう。状況が把握できるまでは、エレインはこのままか……毒の種類によっては死んだことにした方がいいかもしれないな」
「ありがとうございます。……あの、どうかアンには寛大な措置を……」
エレインは、今にも泣きそうに顔をゆがめる。
彼女の気持ちを考えると、頷いて安心させたいところだが、アランは心を鬼にして首を横に振る。
「それは、すべてが明らかになってから決めることだから今は約束できない」
悲しむエレインをそれ以上直視できず、アランは部下に指示を出すべく部屋の外へと出た。
声も出せないようだ。
パッと体を見回すが、破損している箇所や血は見あたらない。
(なんだ? 毒か?)
だとしたら、一刻を争う事態だ。
どんな窮地に立たされたとしても、あらゆる可能性を頭の中で巡らせ、その中から最善の一つを選ぶ。王子としてその術を身につけていたアランは、エレインを抱えて城の中へ急いだ。
ニコルに水と布巾を用意するよう命じ、一番近いエレインの部屋に向かうとベッドにその体をそっと横たえる。
「エレイン……、すぐ医者が来るから」
(お願いだ……どうか、持ちこたえてくれ……)
乱れて顔にかかる髪を手でそっと避けると、「殿下」とエレインが声を発した。
「エレイン!」
目を開けた彼女に、さっきまでの苦しそうな表情は見あたらず、アランは驚く。
どうしたのか、と口を開こうとしたのを、エレインが制した。
「殿下、お静かに」
彼女はそう言って、なんでもなかったかのように体を起こす。
「だ、大丈夫なのか」
「私は大丈夫です、なんともありません。今、内密に動かせる手の者はいますか? 時間がないので詳細は省きますが、お茶に毒が混入している可能性があり、倒れた振りを致しました。すると侍女のアンが、謝りながら指輪を抜き取って持ち去りました。おそらく、何者かに脅されている可能性が高いかと。昨日まで家族の体調が芳しくないと帰省していたのです、家族が人質に取られているかもしれません」
「――わかった。後を追わせよう。状況が把握できるまでは、エレインはこのままか……毒の種類によっては死んだことにした方がいいかもしれないな」
「ありがとうございます。……あの、どうかアンには寛大な措置を……」
エレインは、今にも泣きそうに顔をゆがめる。
彼女の気持ちを考えると、頷いて安心させたいところだが、アランは心を鬼にして首を横に振る。
「それは、すべてが明らかになってから決めることだから今は約束できない」
悲しむエレインをそれ以上直視できず、アランは部下に指示を出すべく部屋の外へと出た。