用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
 目の前のエレインは、見るからに質のよいシルクで、彼女のために仕立てられたことがわかるペールブルーのドレスを着て、身に着ける宝飾品はどれも最上級の逸品ばかり。
 それだけじゃない。シェリーは、パーティーが始まってからずっと、会場でひと際目を惹く、長身で見目麗しい隣国の王子アランが気になっていた。
 そして、彼がパーティーの間中、連れの女性を大事そうにエスコートしている姿を見ては、その女性が羨ましいと嫉妬の目を向けていたのだ。
 それが、まさかエレインだったなんて。
「おぉ、エレイン、無事でなによりだった。あのような形でそなたを追い出し、終いには危険な目にあわせてしまい、なんと詫びればよいか……」
「お詫びなど、とんでもないことでございます。私は、母の形見の指輪さえ返していただければ、それ以上は望みません」
(許せない……! 邪魔するだけじゃなくて私より幸せになるなんて、許せない! ――っ! そうだわ!)
 と、シェリーは少し前の出来事を思い出す。
 数週間前、とうとう始まった妃教育の講師があまりにも自分を見下した態度で気に入らず、イライラしていた時のことだ。
 心の中で(こんなヤツ、苦しんで死ねばいいのに)と悪態をついた瞬間、黒いモヤのようなものが講師を覆ったかと思うと、胸を抑えて苦しみだしたのだ。
 あまりにも突然の出来事に驚き、人を呼んで救護していたら容態が落ち着いて事なきを得た。黒いモヤもいつの間にか消えていた。
 あのときは、もしかして自分がそう思ったから起こったのでは?と恐怖すら感じたが……。
(もし本当にこの力で人を殺せるなら……、今度こそあの女を殺せる……!)
 思いついた名案に、シェリーはすぐさまありったけの憎しみを込めて心の中で念じた。
(今すぐこの女を、殺す――!)
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