用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「テオを?」
「はい。王宮を出て、普段とは違う空気を体験するのも、気晴らしになるかもしれません」
 アランは少し難しい顔をしたが、エレインの考えを汲んでテオの同行を許可してくれた。
 二人の話を聞いていたのか、テオは泣くのをやめてこちらの様子を伺っている。
 涙で濡れたつぶらな瞳は、うるうるとしてテオの可愛さに拍車をかけ、エレインはたまらず彼を抱き上げた。
「テオドールさま。一緒に街に行ってみませんか?」
「あう。あう、あう」
 潤んだ目を輝かせて、うんうんと頷くテオ。
「――ただし、エレインはお仕事があるから、その間は俺と一緒におとなしく待ってるんだよ? 約束できるか?」
 そう言ってアランが小指を差し出すと、テオも小さな小指を絡めて約束を交わしたのだった。


 三人は、目立たないようにと庶民の格好をして教会を訪れる。
(と言っても、殿下もテオドールさまも、容姿が素晴らしすぎてまったく隠せていませんけど)
 街馬車を借りての移動のため、そこまで目立たずには済んだが、それでもすれ違う人達はちらちらと彼らを振り返った。
 視線には慣れているのか、アランは気にも留めず堂々と歩いていく。
 まだ歩こうとしないテオは、アランの腕に抱えられていた。
 礼拝堂で祈りを捧げてから、近くの信徒に声を掛けると、事前に話を通していたのもありすぐに応接室に通された。
「ようこそおいでくださいました。私は神父のブランシェと申します」
「エレインと申します。今日はよろしくお願いいたします」
 簡単に名乗り、早々に本題へ移る。
 どのような年代や症状の患者が多いのか、どのような効果のものがあれば助かるのか、といった質問をして最近の傾向を聞き取っていった。
「ありがとうございます。有用なお話を伺えました。最後に、こちらが運営されている孤児院では、お困りごとなどはございませんか?」
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