ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「実はちょっと困ったことがあって。エレナ様宛に手紙が届いたんだけど……国交のない他国の書式でね?しかも、それが王宮の記録に残っちゃってて……」

 文官棟の端――妙にそわそわと落ち着かない様子で、アリアは指先は小さな封筒の端を何度も撫でていた。

 (……さっそく見つけたのか)

 ユーリはそう思いながらも、顔には出さずアリアの話に耳を傾ける。

「国交のない他国?」

「……マルタユ帝国」

 その瞬間アリアの瞳に浮かんだ迷いのなさを、ユーリは見逃さなかった。

 このタイミングでの素早い行動。
 あの書式の異変に即座に反応するなんて、普通のメイドにできると思えない。

「目的はエレナ様を嵌めるためだと思う!それ以外に考えられないもの!」

 どれだけ偽装しても、感情の速度はごまかせない。悪戯でも何かの間違いでもなく『クラヴィス嬢を嵌めるため』と判断した反応の早さ。
 まるで――『その結末』を見たことがあるかのような。

(間違いない…繰り返しているのはアリアだ)

 何度目なのかは分からない。
 けれど、アリアも同じくこれまで繰り返してきた未来を知っている。

「分かった。ちょっとコネを使って処理するように話をつけてきてやる」

 同じ立場。同じく未来を知っている人間。
 そして今この瞬間にも、自分の敵になるかもしれない最も厄介な存在。

 その相手が、よりにもよってアリアだとは――皮肉だが、面白いとも思った。

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