ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 * * *


 王宮内に用意されたエレナ・クラヴィス公爵令嬢の私室。
 明るい陽が差し込むその部屋の中央で、アリアは胸元に手を当てて深く一礼した。

「改めまして、本日よりエレナ・クラヴィス様のお側仕えを仰せつかりました、アリア・セルフィアと申します。まだ未熟者ではございますが、身命を賭してお仕えいたします。何卒よろしくお願いいたします!」

 そう言って頭を下げたままのアリアに、エレナがくすりと微笑んだ気配がする。

「どうもありがとう…あの、顔を上げていただけません?」

 その声に、ゆっくりと視線を上げる。

(あぁああ、やっぱりお美しい…!)

 薄桃色のドレスに身を包んだその姿は、まるで咲き誇るバラの化身のよう。
 誰もが完璧な公爵令嬢と称するであろうその姿に胸がいっぱいになって、アリアは一瞬呼吸をするのも忘れてしまいそうになる。

「そんなに堅くならないで?えっと、アリアって呼んでいいのかしら?」

「もちろんでございます…!」

「アリアって私と同い年?」

「はい、今年で二十歳(はたち)です」

「嬉しい!私、お付きの方とはお友達みたいになれたらいいなって思ってたの。だから仲良くしてくださる?」

(尊い…!…語彙が……死ぬ……っ!!)

 震える手を隠すように握りしめながら、思わず潤む目をぐっと堪える。

 彼女は公爵令嬢で王太子殿下の婚約者。つまり、このフェルディア王国の未来の妃となる人。
 そんな方が自分のようなただの小間使いに、こんなふうに笑いかけてくれる。

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