カスタネット・ラブ
「ごめん…。」

早川君がもう一度言うから、申し訳なくて思い切り首をふった。


「お前…それ癖?」

突然、早川君が問い掛けてきたからビックリした。

「…え?」

掠れた自分の声が少し恥ずかしかった。

思わず早川君へ顔をあげた自分の泣き顔にも。


「何も言わず首をふるの。」

早川君が、マイペースな口調で話すから



私…早川君と会話してる…。

急にドキドキしてきた。


コクン、と頷くことしかできない自分に、不甲斐なさを感じる。

「友達位には、ちゃんと、言いたいこと言いなよ?」


早川君は意味深に私に笑いかける。

「気を使ってばっかりだと、疲れるよ。」

早川君がそっと私の腕から手を離した。

まだ掴まれていた事に気付いて、急に腕が熱くなった。
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