カスタネット・ラブ

。..一歩..。

「バイバイ。」

後ろから声が聞こえたから、思わず飛び上がってしまった。

だって


だってその声は、まさかの早川君だったから。

み、見られた?!
聞こえた?!


今日は二回も最悪の現場にぶちあたった。


「お前に言ってるんだけれど。」

早川君が、強張った私の顔を見て気まずそうに言った。

「えっ…あっ…」

言葉がでてこない。

目の前にいる夕日色の早川君が、私を見ている。

「独り言でバイバイ、て面白いな。」

からかった様にわざと笑う早川君に、優しさを感じた。

私は思わず…



涙を流してしまった。


困ってる。
絶対困ってる。
顔が見れない。
失礼だよね…?

私はその場から駆け出そうとした。


「ご、ごめん!」

早川君が

早川君の手が、私の腕を掴んだ。
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