ここが乙女ゲームの世界でも好きにさせてもらいます!
Prologue
『信じられないかもしれませんが、ここは乙女ゲーム『ヴァレンティルの花へ』の世界なのです』
手紙に目を通していたエレノア・カートライトは眉間に皺を寄せ、こめかみを押さえた。
「なにか酷いことでも書かれていたのですか? だから私奴が先に確認してからと……」
メイドのジーナはお茶の準備をしていた手をとめると、心配そうにエレノアの元へと歩み寄る。
「……ねぇ、ジーナ」
「なんでしょう、エレノアお嬢様」
「“乙女ゲーム”ってなにかしら」
エレノアが知る限り、この国にゲームと名のつくものはボードゲームかカードゲームぐらいしかない。困惑しながらエレノアがもう一度手紙に目を落とすと、ジーナも「失礼して……」と横から手紙を覗き込んできた。
「あっ、脇のところに小さく『乙女ゲームというのは、主人公が攻略対象の男性と恋愛をするシミュレーションゲームのことです』と書いてありますね」
「……ますます意味がわからないわね」
頭痛を覚えながらもエレノアが続きを読んでみると、
『あなたはこのゲームの中ではモブ同然の扱いですが、あなたがそんな扱いを受けていいわけがない。私が絶対にあなたを幸せにしてみせます』
と書かれていた。