魔王様！まさかアイツは吸血鬼？【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「いくらの借金でお前のオヤジは自殺した？」

見も蓋もない、問いかけ。

「一億は、なかったと思う」

「数千万円ってとこか？
そんなんで自殺するのか、人間は」

脆いな、と。
積み木の城を眺めるような口調で、キョウが呟く。

「まぁ、とはいえ。
お前一人身売りさせたからと言ってすぐに入る金額でもなさそうだな。
弟ってヤツは、オヤジに負の感情でも抱いてたんだろうなー。
身体を売って金が入るなら、自分の身体を売ればいいのに」

えーっと。
思考がダダ漏れてらっしゃいますけど。
大丈夫ですか？

「ジャック、どうする？」

「僕、稼いできます」

ジャックはなんでもないことのようにそう言った。

「円高なのが辛いけど」

なんて呟いている。
円高って……。
魔界と日本の間には、為替レートは存在しないんじゃなかったっけ？

「24日までには戻ってくるから、それまで良い子にしていてね、アヤカちゃん」

ジャックはアヤカの耳元でそう囁くと、頬に触れるだけのキスをした。