魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
中身がなくなったココアの缶は、怖ろしく急速に冷えていく。

さっきまで、触るのも躊躇われたほど熱かったのが嘘みたいだ。

「これは、アルミ?それともスチール?」

変なところがきっちりしている悪魔は、私の手から空になった缶を奪ってゴミの分別に忙しい。
残念ながら、ここの空き缶入れにはそこまで細かい仕分けにはなって無かった。

諦めて、そこに缶を投げ入れたキョウが黒い瞳で私を捉える。

「もう一本滑らない?」

あんなに怖かったはずなのに、何故か。

簡単に頷いてしまう私。

うーん。
ウィンタースポーツの魔力、恐るべし。

さっきは目が眩むほど怖かったリフトに乗る。二度目にして景色を楽しむほど心の余裕が出来ていた。

隣で悪魔が

「やっぱり俺って教え上手だよね☆
怖がるユリアをその気にしてあげたし」

なんて喜んでいるのを、無視する余裕すらあった。
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