魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「くれるの?」

甘い声が耳元で響く。

こ、これは頷いても大丈夫な場面?

なんとなく、流れ的に私は<恋人>のことを忘れている気がするのだけれど。
その人は、私が頷いても怒らないかしら?

「誰かさんが怒らないならいくらでも」

誰かさんが誰を指すのか、私には分からないけれど。
ジャックには分かる。

それがなんとなく腹立たしくて、もどかしくて。
でも、後10日でそれも終わると知っているのだから、この状況を受け入れる以外に手立てが無いことも分かっていた。

「じゃあ、止めておこう。
いいよ、血なんていくらでも手に入る。
エイイチロウさんに頼んでホストクラブに置いてもらってもいいし。
そうするよ、だったらユリアちゃんとはすれ違うだけですむからね。
部屋の鍵だけ、貸しておいて」

「いいわ」

交渉成立。

後は、10日間待てばいい。

大丈夫よ、百合亜。
10日なんてきっとすぐ、だわ。


私は、不安にきしむ心臓に、そうゆっくりと言い聞かせずにはいられなかった。
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