魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
「えーっと、今のは冗談ですよね?」

たっぷり時間をかけて、残った(しかも砂糖のせいで甘ったるくなった)コーヒーを飲み干してから、呆れ顔でエイイチロウさんが問う。

何よ、そんなんじゃ客商売出来ないんだから!と、心の中で唇を尖らせ、現実には眉を吊り上げて

「本気に決まってるでしょー!
どうしてクラスメイトの一大事に意味なく冗談言ってないといけないのよっ」

と、怒って見せた。

「うーん。
本気なんですか?
追っかけてみます?
喜んで手を広げて待っていると思うんですけどねぇ」

エイイチロウさんは、私から軽く視線を逸らしてひとりごちる。
あー、その態度!その口調!!
私のこと、バカだと思ってるでしょうっ!!

なんだかムカっとして、私はさらに思考を巡らせることにした。

で、でもまぁ確かに。
どうやって追っかければいいのか、見当もつかない……。

ことはない!

「ねぇ、私がその見合い相手を好きだったってことにすれば?」

そうやって私が追っかければいいんじゃないかしら☆
今日の私って、とてつもなく冴えている気がする。

でも、エイイチロウさんは、顔を引き攣らせて言った。

「俺が××さんに殺されちゃうんで、止めてもらえます?」

なんで、私がお見合いの場所に行くと、エイイチロウさんが殺されちゃうのかしら?

っていうか、誰に?

言ってる意味はまるで分からなかったけど、あまりにも真剣な表情で訴えられたので、その意見は即座に取り消すことにした。

ニュートンっだって、重力の発見を世間に認めてもらうまで、きっと時間が掛かったに違いないわ。
私も、結論を急がないことにしなきゃ、と。
自分に言い聞かせて。
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