魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
33.まさかアイツは?
――翌日。

昼前にようやく目が覚めた私は、とっくに起きてコーヒー片手に英字新聞を眺めていたキョウに進められるがまま、シャワーを浴び、軽い朝食をすませてから彼が調達してきてくれた服に着替えた。

……って?

着替えた自分を鏡で見た私は、目を丸くする。
彼が調達してきてくれたワンピースは、結婚式の披露宴に招かれた人くらいしか着てないような、素敵なものだったからだ。
鮮やかなオレンジ色でとても可愛らしい。
そのうえの、白いボレロがふわりと甘さを強調している。
問題なのは、鎖骨のキスマークがどうやっても隠れないってこと、くらいなんだけど。

「ちょっと、キョウっ。コレっ!」

キィと、キスマークを指してみせる。
が、彼はふわりと微笑んで
「似合ってるよ、ユリア。もっと増やしてあげようか?」
というばかりなので、お話にならない。

ちなみに年がら年中黒いスーツを身に着けている彼は、今日も割りと華やかな雰囲気の黒スーツを身に纏っていた。

「何?
パーティー?」

キョウは整った唇の端を僅かにあげて微笑んだ。

「そうだよ。
クリスマスイヴと言えばパーティーに決まってるじゃない」

……そうなんですか?
首をかしげながら口を開く。

「でも、寒くない?」

「そこはほら、コートでカバー」

寒さを感じない悪魔に一方的にコートを着せられて、ホテルの外へと連れ出される。

ネオンが無いといえども、ラスベガスの目抜き通りはやはり圧倒されるような大きな建物が林立していて、眩暈を覚えることに変わりはなかった。

差し出される手を握って、人通りのある歩道を歩いていく。

「Excuse us.」

歩みの遅い人を抜かすとき、キョウは律儀にそう声を掛ける。
そのたびに振り向く人の視線を、長いこと釘付けにしているってこと、少しは自覚してます?
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