魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
でも、とっくに余裕の無い私に何が出来るわけもなくって。

ほとんど、人形のようにされるがままに翻弄されていくほか無い。
まるで、打てば響き、吹けば鳴る、楽器のように。
彼が望むがままの言葉を紡ぎ、弱いところを責められれば期待通りさらに声をあげてわななく以外、何一つ自由にならないの。

ズルイ。
……そんなの、ズルイ。

でも、もう。
彼を抱きしめる手にさえ満足に力が入らない。

彼の望む体位で。
彼が求める声を上げる。

私の身体はもうとっくに限界なのに。
彼が限界に達するまで、望まれるがままに身体を提供する。

私に許されているのはきっと。
彼の名を呼ぶことくらい。

名前を呼ぶたびに、その綺麗な琥珀色の瞳を私に見せてくれるの。
そして、触れるだけのキスを。
時折、奪うようなキスを。
求めるがままに与えてくれる。

だから何度もその名を呼ぶの。
掠れた声で。
悲鳴の合間に。

ねぇ、好きよ。
アナタだけよ。

もう二度と放さないって約束してくれるなら。
どれほど好きに弄んでくれても、構わないわ。


ねぇ、キョウ。
――こんなセックスじゃ全然足りないくらいに、私もアナタを愛してるって少しは判ってくれている?

白い光に包まれるように、私の意識も落ちていく。
彼に翻弄されるがままに。

どこまでも、深く。
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