魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
にこり、と、相変わらずの強気な笑みが私を見下ろす。

「無理矢理襲ったわけじゃあるまいし。
双方合意の上の、愛ある夫婦生活じゃないか。
それとも、俺はユリア以外の誰かを誘ったほうが良かった?」

うっ。
私はうっかり返事に詰まって、慌てて言葉を捜す。

「わ、私は合意なんて……してないもん。
少なくとも昨夜に関しては」

くすり、と、キョウがその瞳を眇める。

「ユリア、何回もイイって言ってたよ?
なんなら、それを見ていた人がいるから証人として連れて来ようか?」

冷静な口調に、かぁああっと、私の頬が紅くなる。
やっぱり、猫、起きちゃったんだ。
っていうか、アレ、見られちゃったんだ。

身体の芯まで羞恥で震える。

サイテイ!

私は身体を起こして枕をキョウに投げつけた。

「馬鹿っ!サイテイっ」

自然と声が鋭くなる。
キョウもさっと身体を起こして、枕をふかりと掴んだ。

口許に一瞬、悪魔的笑顔が浮かんだのも私は見逃さない。
その直後、まるで何も知らない子供の顔で、首を傾げて見せるのだ。

「どうして?
ユリアもいつもより乱れてたし、俺はもちろん楽しかったし、アイツもいいもの見れたって喜んでたよ?
被害者なんていないと思うけど」

くぅうううう~~~!!
腹立つー!!
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