「庭の千草」狂詩曲
「新型ウィルスでコンクールが延期になったり、ロックダウンしたり、色々あって大変だったが、どうにか落ち着いてよかった」

「はい。では、寄りたい所もありますので失礼します」

「ああ、8月いっぱいくらいまでは滞在するのかね。時間があるなら、顔を出してくれたまえ」

学長は言いながら大学の入学案内を手にし、詩月を見て愛想笑いをした。

詩月は良からぬことに巻きこまれては適わないなと思いつつ、学長室を出た。

普通科と音楽科の中央にあるエントランスホールに降りてくると、理久がエントランスホールに設置されたピアノを触っていた。

「済んだか」

「うんーー1曲、弾こうか? リクエストはある?」

「ブラームスの雨の歌」

理久は即答したが、ブラームスの雨の歌は、ヴァイオリン曲だ。

それでも詩月は「OK」と笑ってピアノを弾き始めた。

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