「庭の千草」狂詩曲
「聞いて。詩月、気を失ったと思ったら寝てたのよ。それも、いきなり」

詩子がダイニングに入ってきた理久に勢いよく話した。

「眠れてなかったみたいだからな」

「亮月さんの『周桜の名前には代々「月」の字がついている。周桜の孫には『月』をつけるんだ』を話した途端によ」

「ヘエ~、ずいぶん深刻そうにしていたのに。存外、単純な話で決着したんだな」

「昨日は朝まで1度も起きなかったらしいわ。元気になってくれればいいけれど」

「そうだな。婆ちゃん、ありがとうな」

「わたしは彩月から詩月の悩みを聞いただけよ。詩月は何でも1人で抱えこむみたいだから」

「俺にはわりと話す。でも何処まで話しているのか。全部は話してないと思う」

「全部を聞かなくていいのよ。ただ、話せる存在がいる。その安心が大事なのよ、きっと」

「だといいけど。おふくろは未だ、仕事?」

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