「庭の千草」狂詩曲

chapter 3ーー思い通りにならない

病院の中庭には木陰が幾つかある。

患者たちが散歩をしたり、会話をしたりしている。

看護師が付き添い目配りをしている患者もいる。

詩月は時任の勧めで中庭に連れ出され、木陰で譜読みをしていた。

「今日はホールでピアノ演奏、ないのかね」

「いい演奏ですよね、私も楽しみなんですよ」

患者同士が3階のイベントホールを眺めながら話していた。

1階の中央階段から3階の階段までが吹き抜けで、3階の踊り場が広くなり、イベントホールになっている。

ピアノを1台設置して、ソファーを数台置いただけの簡素なホールだ。

本館は外来エリアと検査エリア。

3階イベントホールを挟んで、反対側は別館で病棟になっている。

「大学のエントランスホールでの動画、すごいらしいですよ。此処に入院する数日前に演奏したものみたいです」

「それは是非、観てみたいね」


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