「庭の千草」狂詩曲
沈黙から突然の展開に、カメラマンたちはバルコニーに焦点を合わせた。

テレビ局や雑誌社、新聞社などの腕章や名札を着けた男女たちが一斉に身構えた。

詩月は無言で便箋の紙飛行機を塀の外めがけて飛ばした。

詩月が飛ばした便箋の紙飛行機は巧く弧を描いて飛び、塀の外で待機しているカメラマンの足元に着地した。

「何だ!?」

カメラマンは足元に落ちた紙飛行機を拾い上げ、首を傾げながら素早く広げた。

横滑りの流れるような達筆のインク字を読むと、バルコニーを見上げた。

「おい、何が書いてあるんだ」

「交換条件だ」

「読めよ」

カメラマンは、詩月の書いた文章を読み上げた。

「今からバルコニーで詩月が演奏するのか」

「どうする? 応じるのか」

塀の外が騒然とし、詩子が何事かと玄関扉を開け塀の外へ出てきた。

「何事ですか。張り込みされているだけでも迷惑しているんですよ」

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