「庭の千草」狂詩曲
理久は席を立ち、詩月がカウンター前からゆっくりと席に戻ってくるのを支えた。

詩月は席に着くと、左足を擦りながら小さくため息をついた。

「みっともない所を見られたな」

「あの……走らなかったり、急いで歩かなかったり、立ち上がる時も左足に手を添えるのは、……左足が?」

貢が郁子の隣で顔をしかめたのを理久が、首を振って止めた。

詩月は数秒、郁子を見つめ息を呑んだ。

が、直ぐに穏やかに笑ってみせた。

「なんだ、気づいていたんだ。気づかれないようにしていたのに」

「そんなに不便だとは思ってなかった」

 「調子が良ければもっとスムーズに歩けるんだけど、検査で1ヶ月も入院していて筋力が落ちているんだ。でも、リハビリで演奏に支障がでないくらいには戻す。ペダルを踏まなきゃならないからな」

「周桜くんは簡単なことではないのに、サラリと言うのね」

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