「庭の千草」狂詩曲
詩月はしばらく笑いを抑えられなかった。

「確かに自分で観る時、解りやすいように絵を書いたり、記号を書いたりしたけれど」

理久は帰国した詩月が声を出して、心底笑うのを初めて見た。

詩月の笑いが収まるのを待ち、桃香は詩月にXCEON のDVDを手渡した。

「詩月、XCEON の最新アルバム。この子たちの成長を確かめて」

「桃香さん。ありがとうございます」

詩月はDVDを両手で丁寧に受け取り、桃香とXCEON の3人を見て、穏やかに微笑んだ。

ーー僕も、しっかり前を向かないと……

胸の内で呟いた。

「桃香さん。話せる時が来たら、ちゃんと話します」

詩月は桃香の目をじっと見つめて、静かに言った。

「わかったわ」

桃香はサッと右手を差し出し、詩月の手を取った。

お互いにギュッと思いをこめ、握手した。

詩月は桃香の手はたくさんの夢を支えてきた手だと思った。

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