「庭の千草」狂詩曲
「僕も高校で再会した時はそう思った。途中で教室をやめなければ、今頃スゴい演奏をしているのに」

「へぇ~」

理久の口ぶりは、まるで信じていない風だった。

「理久、お風呂沸かしてきて。詩月に入るように言って」

「さっき見に行ったら、寝てた。半日、出かけて疲れたんだろ」

夕飯後、詩子は食卓の片付けをしながら、詩月の心配をした。

「詩月はもう飛行機のチケットを予約したのかしら」

「書類が出来上がってから手配するみたいだ。国際線は福祉手帳割引がないからな」

「来る時は貢くんが一緒だったのよね。1人で帰して大丈夫かしら?」

「婆ちゃんは心配性だな。ガキじゃないんだから」

「でも……」

「大丈夫だって。詩月はちゃんと自分の状態を理解しているから、無理はしないさ。それに俺が空港まで送っていくし、向こうの空港にはユリウスが迎えに来るから」

「そうね。……ダメね、心配ばかりしていては。宗月もクレアも強いわね、本当に強い」

「俺もそう思うよ」

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