「庭の千草」狂詩曲
ユリウスはマルグリットの肩を抱き寄せ、暫く抱き締めていた。

「ーーしまった」

夜半。
詩月は目が覚め、飛び起きた。

暗くなった部屋の明かりをつけ、時計を観た。

慌てて部屋を出て、ダイニングを覗いた。

ユリウスとマルグリットが向かい合わせて、ワインを酌み交わしていた。

「目が覚めたか、飲まないか」

顔を出すべきか否か、迷う詩月に気づいたのはユリウスだった。

「ごめんなさい」

詩月はダイニングに入るなり、深々と頭を下げた。

「車に乗ったら安心して爆睡してしまって」

ユリウスとマルグリットが詩月の顔をしげしげと見つめている。

「戻ってくる数日前から、機内で気分が悪くなったらと思うと不安で眠れなくて」

笑い出したのはマルグリットが先だった。

「突っ立ってないでかけなさい。お腹も空いているでしょう? 軽いモノを用意するわ」
< 320 / 359 >

この作品をシェア

pagetop