「庭の千草」狂詩曲
マスターはカウンター内で、コーヒーサイホンのサイホン管を掃除していた。

「宗月とユリウス、エィリッヒは同学年で、クレアは2つ下だ。クレアが師事している教授にユリウスが師事することになったとか。クレアが学内コンサートのピアノ伴奏者を探していると宗月に伝えたのが、宗月とクレアのそもそもの縁だったと聞いている」

「へぇ~」

「クレアがガダニーニを弾いているという噂でピアノ伴奏者がなかなか見つからないと言うことで、宗月が名乗りを上げたそうだ」

「やるじゃん、詩月のお父さん」

「クレアは今でこそ、穏やかで大人しそうに見えるが当時は勝ち気で小生意気な女子学生だったそうだ。俺が知っているのは、この程度だ」

マスターはその先のエピソードも知っていたが、詩月と宗月の秘密を思って、話さなかった。

「そのヴァイオリン、ガダニーニは当時も恐れられていたんだね」
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