「庭の千草」狂詩曲
宗月とハインツの記者会見後。

詩月は出先で度々、席を譲られたり、順番を譲られたりすることが増えた。

レッスンの度に怒鳴っていた教授は、怒鳴る前に深呼吸し、怒鳴る回数が減った。

足のリハビリ指導をしているリハビリ療法士は、リハビリのプログラムのランクを下げた。

詩月は周桜宗月Jr.だと色眼鏡で観られなくなった代わりに、体調を気遣われるようになったことが、納得がいかない。

リハビリ療法士に「1日も早く、元通りに戻したいので体調への気遣いはいらない」とキッパリ言った。

「でも……」

リハビリ療法士は詩月を見下ろし。口ごもった。

詩月はたびたび、誰かに後をつけられている、誰かに観られている、一定の距離を保ち近づいてこないーー気配だけを感じた。

ミヒャエルが「お前。つけられてるし、観られてるよな」と何度も云うのに、当の人はみつけられない。
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