嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
カイから何の音沙汰もないまま、ルチアは王都のタウンハウスに戻ってきた。年越しで行われる舞踏会を控え、その準備で日中は慌ただしく過ぎていく。
「ルチア様ぁ、明日も早いんですから夜更かしせずにお休みくださいましねぇ」
「分かったわ」
ベッティが出て行って、ひとり残されたルチアは分厚いカーテンに手を掛けた。
最後に会ってから、もうひと月近く経とうとしている。あの夜、カイは突然この窓の外からやってきた。
鍵が閉まっていないことを確認するために、ルチアは窓を開いた。月も出ていない今日の夜空は、満点の星々が輝いている。
あの星明りを頼りに、今宵こそルチアの元に来てくれるだろうか。そう願いながら、幾日も夜を明かしてきた。
「カイ……」
切なげな声は白い息となって暗闇へと消えていく。
窓を閉め、カーテンは少しだけ隙間を残した。こうすれば部屋からの明かりが外に漏れ、カイが迷わずたどり着けるだろうから。
冷えた体で寝台にもぐりこむ。
瞼を閉じても、まどろみは一向に訪れてくれなかった。
「カイ……」
あの夜を夢想して、カイの熱を繰り返し思い出す。
ぎゅっときつく目をつむり、カイがしてくれたようにルチアは自分の肌に触れてみた。
「足りない……ぜんぜん足りないよ、カイ」
焦がれる想いを抱え、今日も夜は更けていく。
待てども外から窓が開かれることはなく、そのままルチアは新年を祝う夜会の当日を迎えた。
カイから何の音沙汰もないまま、ルチアは王都のタウンハウスに戻ってきた。年越しで行われる舞踏会を控え、その準備で日中は慌ただしく過ぎていく。
「ルチア様ぁ、明日も早いんですから夜更かしせずにお休みくださいましねぇ」
「分かったわ」
ベッティが出て行って、ひとり残されたルチアは分厚いカーテンに手を掛けた。
最後に会ってから、もうひと月近く経とうとしている。あの夜、カイは突然この窓の外からやってきた。
鍵が閉まっていないことを確認するために、ルチアは窓を開いた。月も出ていない今日の夜空は、満点の星々が輝いている。
あの星明りを頼りに、今宵こそルチアの元に来てくれるだろうか。そう願いながら、幾日も夜を明かしてきた。
「カイ……」
切なげな声は白い息となって暗闇へと消えていく。
窓を閉め、カーテンは少しだけ隙間を残した。こうすれば部屋からの明かりが外に漏れ、カイが迷わずたどり着けるだろうから。
冷えた体で寝台にもぐりこむ。
瞼を閉じても、まどろみは一向に訪れてくれなかった。
「カイ……」
あの夜を夢想して、カイの熱を繰り返し思い出す。
ぎゅっときつく目をつむり、カイがしてくれたようにルチアは自分の肌に触れてみた。
「足りない……ぜんぜん足りないよ、カイ」
焦がれる想いを抱え、今日も夜は更けていく。
待てども外から窓が開かれることはなく、そのままルチアは新年を祝う夜会の当日を迎えた。