嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 ――なに、龍に任せれば問題ない!
 ――そうじゃ、すべては龍の思し召しじゃ!

 おなじみの台詞で王たちが騒ぎ出す。だがその肝心の青龍は、ハインリヒの御代になってから沈黙を保ったままでいる。

(やはり夢見の巫女を失ったのは大きいな)

 夢見の力を持つ神官に務めさせてはいるが、やはり男を選出したのは間違いだったのかもしれない。

 王だなんだと(まつ)り上げられようとも、その実態はお飾り以下の張りぼてに過ぎない。龍の意のままに動くしかできない自分に、どうしても歯がゆさを感じてしまう。

 そんなときハインリヒは、いつも父の言葉を思い出していた。

(あがけ、か)

 そしてディートリヒはこうも言っていた。
 我らは龍の庇護のもとにある。だが、言いなりというわけではないのだと。

(そうだ、何もしないまま、指を(くわ)えて龍の言葉を待つなどしたくない)
 自分にはやるべきことが山ほどあるはずだ。

 ――今代の王は、ほんに真面目な性分よのう

 呆れ気味の王たちの言葉に、惑わされることもなくなってきたハインリヒだった。







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