嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「もう、これではお話ができませんわ」
「口は塞いでいない。話がないならそれでもいいが?」
「ひゃっ」
脇から腰のラインを指でたどると、リーゼロッテの体が小さく跳ねる。
「ま、まだ駄目ですわ。今話しますからもう少し待ってくださいませ」
振り向いた頬に口づけた。唇を塞がないようにと、鼻先と額、そしてまた頬を何度も啄んでいく。
「ええと……そう、そうですわ! 王城への出仕がなくなったのは、何か理由があるのですか?」
「いや、厳密な理由は聞いていないな」
「そうですのね。なんにせよ、ヴァルト様のご負担が軽くなるんですもの。わたくしうれしいですわ」
曖昧な返答にリーゼロッテは疑うことなく笑顔になった。
まだ確定ではない情報だ。いたずらに不安を煽るのは得策ではないだろう。
実のところハインリヒからは、オーランウヴスとの国境を守る砦付近で不穏な動きがあると伝えられていた。砦があるヴォルンアルバは、父親のジークフリートが辺境伯として治めている地だ。
雪解け以降は有事もあり得る。いつでも加勢に行ける体制を整えるよう、出仕免除の沙汰が下った次第だった。
「でしたらその間に辺境の砦に行けないでしょうか」
「辺境の砦に?」
「ディートリンデ様から招待状が届いておりましたでしょう?」
「ああ、母上の誕生日か……」
「ヴァルト様の予定が空くのなら、直接祝って差し上げたいですわ」
今まさに考えていた場所を口に出され、動揺しかかったジークヴァルトだ。しかし今の時期、春の雪解け前ならば、危険もなくゆっくりする余裕はあるに違いない。
「お前が望むならそうしよう」
「本当ですの?」
「ああ、母上の誕生日まではまだ間があるからな。出発に備えて執務も十分調整できる」
瞳を輝かせたリーゼロッテがなんだか上の空になっている。ヴォルンアルバの旅路へと、早々に思いを馳せているのだろう。
それが面白くなくて、ジークヴァルトはリーゼロッテの唇を本格的に塞ぎにかかった。
「おしゃべりは終いだ」
身も心も、リーゼロッテのすべてを自分だけで満たしたい。
口づけを深めていって、その欲望はあっさりと叶えられた。
「口は塞いでいない。話がないならそれでもいいが?」
「ひゃっ」
脇から腰のラインを指でたどると、リーゼロッテの体が小さく跳ねる。
「ま、まだ駄目ですわ。今話しますからもう少し待ってくださいませ」
振り向いた頬に口づけた。唇を塞がないようにと、鼻先と額、そしてまた頬を何度も啄んでいく。
「ええと……そう、そうですわ! 王城への出仕がなくなったのは、何か理由があるのですか?」
「いや、厳密な理由は聞いていないな」
「そうですのね。なんにせよ、ヴァルト様のご負担が軽くなるんですもの。わたくしうれしいですわ」
曖昧な返答にリーゼロッテは疑うことなく笑顔になった。
まだ確定ではない情報だ。いたずらに不安を煽るのは得策ではないだろう。
実のところハインリヒからは、オーランウヴスとの国境を守る砦付近で不穏な動きがあると伝えられていた。砦があるヴォルンアルバは、父親のジークフリートが辺境伯として治めている地だ。
雪解け以降は有事もあり得る。いつでも加勢に行ける体制を整えるよう、出仕免除の沙汰が下った次第だった。
「でしたらその間に辺境の砦に行けないでしょうか」
「辺境の砦に?」
「ディートリンデ様から招待状が届いておりましたでしょう?」
「ああ、母上の誕生日か……」
「ヴァルト様の予定が空くのなら、直接祝って差し上げたいですわ」
今まさに考えていた場所を口に出され、動揺しかかったジークヴァルトだ。しかし今の時期、春の雪解け前ならば、危険もなくゆっくりする余裕はあるに違いない。
「お前が望むならそうしよう」
「本当ですの?」
「ああ、母上の誕生日まではまだ間があるからな。出発に備えて執務も十分調整できる」
瞳を輝かせたリーゼロッテがなんだか上の空になっている。ヴォルンアルバの旅路へと、早々に思いを馳せているのだろう。
それが面白くなくて、ジークヴァルトはリーゼロッテの唇を本格的に塞ぎにかかった。
「おしゃべりは終いだ」
身も心も、リーゼロッテのすべてを自分だけで満たしたい。
口づけを深めていって、その欲望はあっさりと叶えられた。