嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
それもそのはず、ランプレヒトは元々隣国オーラウヴスの人間だ。先代の辺境伯の時代に、一度オーランウヴスから小さな侵攻を受けている。その際に捉えられた捕虜こそがランプレヒトだ。
今は騎士団内で割と自由に過ごしているが、バルバナスの気まぐれの結果でしかない。薬草の知識を持っていたのも大きかったが、捕虜への待遇としては破格の扱いと言えた。
フードの男たちは、そのランプレヒトとよく似たしゃべり方をしていた。すなわち、ハインリヒが危惧していたことが正に起きているということだ。
(これは慎重に調査する必要がありそうだな……)
隣国の手の者がすでにこの地に入り込んでいる。内側から手引きをされれば、容易に侵攻を許すことになりかねない。どれほどの規模で潜んでいるのか、それによっては雪解け後に起こる戦火は避け難くなるだろう。
これ以上深部を調査するとなると、騎士姿では無理がある。流れの労働者を装うにしても、彼らに近づくのは骨が折れるかもしれなかった。
それでなくともこういった場所に集まるごろつきは、特有の勘と鋭さを持っている。いかにカイと言えど、死線をかいくぐってきた者たちの中に違和感なく溶け込むのは難しそうだ。
(こんがり亭のダンあたりならイケそうだけど)
しかし堅気となったダンを巻き込むわけにもいかない。デルプフェルト家から適任者を選ぶのが妥当なところだ。
まずはハインリヒへの報告が優先だ。
その上でジークフリートとバルバナスにも、カイが単独で命を受けていた事実を話す必要があるだろう。
(まぁ、オレがあっさりたどり着いたくらいだし。辺境伯もこの程度の情報はすでに掴んでるんだろうな)
どこまで手を取り合って国境を守るかは、あとはジークフリートとバルバナスの問題だ。国の一大事を前にして、いがみ合いを続けるほどふたりが子供でないことを祈るばかりだ。
「とりあえず今日のところは戻ろうか、ブラル殿」
「あれ? 猫探しはもうお終いっすか?」
「どうやら猫は虎に育ったみたいだし。もっと作戦練らないと、ね?」
軽く肩をすくませたカイに、ニコラウスは神妙に頷き返した。
今は騎士団内で割と自由に過ごしているが、バルバナスの気まぐれの結果でしかない。薬草の知識を持っていたのも大きかったが、捕虜への待遇としては破格の扱いと言えた。
フードの男たちは、そのランプレヒトとよく似たしゃべり方をしていた。すなわち、ハインリヒが危惧していたことが正に起きているということだ。
(これは慎重に調査する必要がありそうだな……)
隣国の手の者がすでにこの地に入り込んでいる。内側から手引きをされれば、容易に侵攻を許すことになりかねない。どれほどの規模で潜んでいるのか、それによっては雪解け後に起こる戦火は避け難くなるだろう。
これ以上深部を調査するとなると、騎士姿では無理がある。流れの労働者を装うにしても、彼らに近づくのは骨が折れるかもしれなかった。
それでなくともこういった場所に集まるごろつきは、特有の勘と鋭さを持っている。いかにカイと言えど、死線をかいくぐってきた者たちの中に違和感なく溶け込むのは難しそうだ。
(こんがり亭のダンあたりならイケそうだけど)
しかし堅気となったダンを巻き込むわけにもいかない。デルプフェルト家から適任者を選ぶのが妥当なところだ。
まずはハインリヒへの報告が優先だ。
その上でジークフリートとバルバナスにも、カイが単独で命を受けていた事実を話す必要があるだろう。
(まぁ、オレがあっさりたどり着いたくらいだし。辺境伯もこの程度の情報はすでに掴んでるんだろうな)
どこまで手を取り合って国境を守るかは、あとはジークフリートとバルバナスの問題だ。国の一大事を前にして、いがみ合いを続けるほどふたりが子供でないことを祈るばかりだ。
「とりあえず今日のところは戻ろうか、ブラル殿」
「あれ? 猫探しはもうお終いっすか?」
「どうやら猫は虎に育ったみたいだし。もっと作戦練らないと、ね?」
軽く肩をすくませたカイに、ニコラウスは神妙に頷き返した。