嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 ねー、と顔を傾け合って、エメリヒとカミラは手に手を取って行ってしまった。
 その背に向け、カムバックとばかりにクラーラが手を伸ばす。

「ああああのっ、ほんと今からでもへリング家は大丈夫ですからぁ! 慰謝料とかなくて全然平気ですし、わたし、じゃなかったわたくしよりも、もっと相応しいどなたかがいらっしゃるんじゃないかって考えなおしたりしませんかぁ?」
「まだそんなこと言っているのかい? 聞き分けのない子だね、クラーラは」
「だだだってどう考えたって、わたくしとエルヴィン様では釣り合い取れなさすぎてっ」
「そんなにわたしじゃ役不足かい?」
「そ、そのようなことはっ」
「だったら何も問題ないね。ああ、そのブローチ似合っているよ。一生わたしが守ってあげるから。ね? クラーラ」


 その様子は、まさに肉食獣に掴まった小動物であったと。
 口には出せないものの、グレーデン家の使用人たちが揃えたように胸の内で思った瞬間だった。




 番外編 君に決めた。 おわり








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