月明かりの下で、あなたに恋をした
「この描き方だと、少女の心の変化が伝わりません。読者の目線が、ここで迷子になってしまいます」
私は唇を噛んだ。
「私、もう5回も描き直しているんです」
「わかってます。だけど、このままだと出版は難しい」
その言葉が、夢を諦めた4年前と同じ、冷たい現実として胸に刺さった。私は俯く。
やっぱり、私には無理なのかもしれない。才能がないのかもしれない。
「柊さん」
葛城さんが呼ぶ声が聞こえたが、顔を上げられなかった。
「落ち込まないでください。これは、良くなるための過程です」
「でも……」
「大丈夫。一緒に考えましょう。俺も、全力でサポートしますから」
私は顔を上げた。葛城さんは、真剣な目で私を見ていた。
「諦めないでください。あなたの作品は、絶対に良くなります」
その言葉は、私自身を励ましてくれているように感じた。私は首を縦に振る。
「……はい」
その日、私たちは5時間かけて、ラストシーンを考え直した。何度も描き、何度も消し、何度も話し合った。
途中、視界が滲んだとき、葛城さんがそっとハンカチを差し出してくれた。
「少し休憩しましょう」
「……すみません」
「謝らないでください。創作は、苦しいものです。だけど、乗り越えた先にはきっと、素晴らしいものが待っています」
葛城さんの言葉に、私は涙を拭いた。そして、もう一度ペンを握った。
そして、夕方。ようやく──。