過つは彼の性、許すは我の心 参
女も勿論聞いていた。
自分の前に来ていた人物達が立て続けに亡くなっていて、だから自分に白羽の矢が立ったのだ。
調査も入ったが、
「でも事故死でしょう。古い建物のにはよくある話よ」
全ては建物の老朽化による事故で片付けられたと聞いている。それ以上調べられては困るからその様な判断となったのだろう。そもそも基本此処に居るのはこの少年とオオミカの2人のみなのだから、暗がりの恐怖さえ如何とでもなれば何も恐れるモノはない。
「…そうですか、ああ此処降って直ぐの所です」
「ありがとう」
月明かりが入らない階段の降りた先は闇しかない。
女はゴクリと唾を飲み込む。
そして、女は隣の八重に言った。
「あの…匡獅様と内密なお話がしたいの。だから暫く席を外しておいてほしいの」
「どのくらいですか?」
「出来れば朝まで」
「…」
オオミカの傍に何故花もない、取り立て能力も高くないシンカンがいるのかと言われていたが、こう見ると八重と言う少年は、綺麗な造りの顔をしている。月に照らされたその姿は、月の化身と言われても差し支え無い神秘的さがあり、今の八重ならオオミカの傍に居ても見劣りしない気がした。
「分かりました」
「ありがとう」
素直に頷いた八重に感謝を伝えて、女は壁に手を付きながら片足を下ろした。