過つは彼の性、許すは我の心 参



「…どうしようも無い事だってあるだろう」


 静かに、でも諭す様な声が聞こえて今更ながら思い出す。

 そうだカズミさんの両親は…。


「ご、ごめんなさい」

「いい、気にすんな」


 腕を捲りながらプランターを運ぶその表情は、不用意な発言をした私に対しての怒りはなさそうだった。


「俺はそいつの事を知らないし、今はお前の方が辛いだろう」

「…」

「神様だってどうにも出来ない。仕方ねえよ」


 ヨイショとプランターを所定の位置に置く一葉師匠。

 実際に身内を…ナオの様に亡くした一葉師匠は、長い時間を掛けて心の中に溜まる膿を如何にかしたんだろうか。

 坂本君にも言われたけれど、ユウナの件も消化しきれていない。

 だから皆からの心配している連絡も無難に返す事に留まっている。

 だって本当になんて言えばいいのか分からないから。


「獅帥が居て良かったな、下手したら殺されていただろう」


 一葉師匠のその言葉に、今まで考えていた事は掻き消えてーーーとある事が頭を過った。


「うん…」

「何か納得言ってねえのか」


 納得言ってないって言うか。


「…前にプチ同窓会をした時にユウナって女の子に絡まれたんだけど、獅帥君が私の代わりに色々言ってくれたの…それでナオに対しても色々言ってくれて」

「ああ」

「その時のユウナとナオの顔が…」


 生きる気力も無くなる程の絶望に染まった2人の顔。

 聞いていた私ですら心臓がキリキリし、痛い程だった。

 
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