過つは彼の性、許すは我の心 参


「…覚えればいいだろう」

「どうやって覚えるの?ハウツー本でも持って、あ」


 良い事を閃いた。


「カズミさん私の師匠になってよ」

「はあ?」


 漸く余裕綽々の態度が崩れたのて、ちょっと得意気になる。


「自分でも調べはするけど、実際教えてもらった方がいいだろうし」

「…あのなあさっきも言ったけど、俺はこの家では透明人間で、妃帥のミケが俺なんかと仲良しこよししていたら、」

「だからこの中でしか馴れ馴れしくしないって。此処って普段鍵掛けているっぽいから、入れる人は限られているんでしょう?」

「…」


 沈黙するとは、肯定だな。(ニヤリだぜ)
 

「宿題出すくらいなら教えてもらっていいですかカズミ師匠」


 えへへー!と勝確の愉悦の笑みを浮かべたら、呆れた様に。


「人の名前も知らない癖して」


 と、これまた意味が不明な事を呟いた。


「何言ってんのカズミさんは。カズミさんはカズミさんじゃない」


 当たり前の事をと笑い飛ばすと、カズミさんは鼻で嗤った。む、何だその笑い。


「…カズミは名字だ」

「え?」

「名前を名乗ることすら許されてないんだよ俺は」


 ふっ…と自嘲気味に笑うカズミさん。


「…じゃあ本当の名前は」

「秘密」
 
「何で!」
 
「宿題の答えに掛かるかもしんないから」


 そこまでして宿題やり遂げさせたいのか、何たる鬼師匠。
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