甘い生活  Casa al mare
清海さんは、天気の悪い日や夜のほうが絵を描きたくなり、こんな清々しい天気の日には、他のことをしたくなるらしい。

「清海さん、本当は絵よりも自然のほうが好きだもんね」

「画家失格かもしれないけど、そうだね。こんな日は釣りに行こうかな」

「ふふ、いってらっしゃい」

「海香子ちゃんも一緒に行こう」

「え、私は仕事があるし⋯⋯」

「いいから!ボスが仕事放棄してるのに、アシスタントだけ働くのも変でしょ」

結局、二人してすぐ近くの岩場へと向かった。

私は、実家から磯遊びセットを持ってきていたので、久々に箱メガネで海中を覗く。

その横で、清海さんは釣り糸を垂らしている。

「今夜は、庭でバーベキューしようか。野菜も採れたことだし」

「うん!魚が釣れたら、買うのは肉だけでいいもんね」

「せっかくだから、アルコールも欲しいかな」

「ねえ、清海さんって酒豪だけど、肝臓は大丈夫なの?」
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