甘い生活  Casa al mare
中学までは、田舎ゆえに全校生徒の人数が少なすぎて、ほぼ全員が幼なじみという状態。

ゆえに、中学生の恋なんて、少女漫画の中だけの話だと思っていた。

母校の高専は、一般的な理系の高専と違い、どちらかというと、女子のほうが多かった。

5年間同じクラスメイトで、私の場合、5年間ずっと寮生活。

絶対に首席で卒業する!という意志と、少しでも多くの資格を取得し、いいところに就職してみせる⋯⋯ということしか頭になく、やはり恋愛なんて考えることもなかった。

東京で就職してからは、もっと最悪だ。

仕事はできないし、嫌われ者で⋯⋯。

都会だから、やはりナンパは多かったが、ただ怖いだけで逃げてばかり。

それなのに、不思議だ。

清海さんと初めて言葉を交わした時は、これっぽっちも怖くなかったのだから。

初対面の時点から、清海さんに対して、恋かどうかは別として、好意を持っていたのは間違いない。
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