白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「にしてもですよ。この屋敷の方は何なんです? アンリエッタ様が怪我をして熱まで出されているというのに。誰も心配なさらないなんて」
「あー。まぁね」
「まあねではないです! もっと怒ってもいいと思うんですよ」

 怒るかぁ。
 そういう感情をすでに通り越してしまっているのよね。
 初めからあの人たちになんて、何にも期待していないんだもの。

「でも想定内じゃない?」
「そういう問題じゃありません! 形だけでも、表面だけでも人間なら普通は心配するもんです」
「でもさぁ、お父様だってそうじゃない?」
「あれは、アンリエッタ様には申し訳ないですがヒトとは思ったことなどございません」

 怒りながらもきっぱりと言い切るミーアに私は吹き出した。
 他人から見ても、人だとは思われないって相当よね。

 でも分かるわぁ。
 娘でも価値がなくなれば捨てるくらいだしね。
 人ではないか。

「すみません!」

 ノックもそぞろに、一人の侍女が部屋に飛び込んでくる。

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