白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「で、一体、何があったんですか?」
「それがね、私来月に結婚させられることになったの」
「!」

 紅茶に口を付けようとしていたミーアは、その大きな瞳をさらに大きく広げながら、声にすらならない驚きを見せる。
 まぁ、普通はこういう反応よね。

 だって来月よ、来月。
 平民だって、結婚式には半年くらいの準備期間があるというのに。
 いきなり見たコトもない相手とすぐに結婚式だなんて、ありえないでしょう。

「え、な、えええ? 来月ですか? えええ⁉」
「そうなのよ。あの人の思いつきにも困ったものだわ」
「困ったものってそんな簡単に……。お嬢様、大丈夫なのですか?」

 今にも泣きだしそうな顔で、ミーアが私の顔をのぞき込む。
 実の親ですらあんななのに、赤の他人でしかないミーアの方がずっと私のことを思ってくれている。

 あの時は助けられなかったけど、今度こそ絶対に……。

「大丈夫ではないけど。でも仕方のないことよ。だって、逆らうわけにもいかないでしょう」
「それはそうかもしれませんが。いくらなんでも酷すぎます」
「そうね。普通ではないわよね」
「前からずっと思ってたんです。実の父親なのに、商会長のお嬢様に対する扱いが酷いじゃないですか!」

 ミーアの言うことはもっともだ。
 父は実の娘である私でさえ、他の使用人たちと同じ扱いをしてきた。
 
 子どもの頃から、食事にありつきたければ働け。
 働かない者は、この商会に必要ないという風に。
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