白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「馬鹿な! そんなこと認められるわけないだろう!」
「でも、いつもお父様がなさっていたことですよね?」
「それは……」
「あなたの下で私は、本当によく学ばせていただきましたわ。その点だけは、感謝しています」

 確かに初めの契約書には、期間が設けられていた。
 そして私の子どもが生まれたら、その一人に商会を継がせつつも、自分が最高決定権をそのまま維持することも。

 だけど文書なんていうものは、地位と金さえあればいくらでも偽装が出来る。
 そう、かつて父がよく使っていた手だ。

 だからこそ、今回の譲渡の部分から下を全部書き換えて、ただ普通に譲渡しただけの書類にしてしまった。

 そして商会にも父の周りにも、誰一人としてこの件に反対する者などいなかった。
 この人徳のなさ。

 いくら力や商才があったって、所詮周りは敵だらけだったということ。

 同業者でさえ、経営者が父ではなく私になるならば、まだ勝ち目があると思ったのか二つ返事で協力してくれた。
 でもね……。私はどこまでいっても、この腹黒い男の娘でしかないのだけどね。

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