白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「え……」
「夢だとは分かっていても、君を助けられなかったことが苦しくて、やるせなくて」

 ブレイズの語る夢に、記憶が蘇る。
 一度目の死。
 橋から身を投げる瞬間に、私は誰かを確かに見た。

 もちろんそれが誰だったのかは、分からぬまま死んでしまった。
 だけどあの場で確かに叫びながら私を助けようとしてくれた人がいたのだけは覚えている。

 それがまさか、ブレイズだったなんて。
 あの世界で唯一、私を救おうとしてくれた人。

 運命なんて信じたことはないけれど、でも死に戻ってちゃんと出会うことが出来た。
 それはきっと、偶然ではない気がする。
 ううん。偶然じゃないって思いたい。

「変な夢だとは自分でも自覚があるんだが」
「ブレイズ様だけですね」
「それはどういう意味だ、アンリエッタ」
「昔からずっと必要としてくれていたって、意味ですよ」

 そう、ずっとずっと昔から。
 私を必要としてくれるただ一人の人。

 それが嬉しくて、私はブレイズに抱きついた。
 するとブレイズはそのまま私にキスをする。

 あの世界でも必要としてくれる人がいた。
 それだけで、私はどこまでも幸せだった。
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