白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「止めてよね、そのドレス死ぬほど高いんだから」

 彼女に言われなくともそれは分かっている。
 衣装合わせの際に、値段など気にしないと言った人たちを蹴倒したい気分だ。

 座った先に広がるまばゆいばかりのドレスを見た。

 幾重にも重なった柔らかな白いチュールは、波のように床にまで広がっている。
 しかしそれよりも目を引くのは、金の細やかな刺繍だ。

 バラの花をモチーフとしたそれは細部にまで施され、しかも手縫いだという。

 金額を聞いた瞬間、私は倒れるのではないかと思ったほどだ。
 なのに、問題ないとか勝手に答えちゃう人がいるし。

 いくら自分が出さないとはいえ、やはり気が引けてしまう。
 元平民でもあり、商人のサガよね。

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