これが愛じゃなければ
親友 side蒼依
☪
「蒼依、何かあったのか」
家族での食事の時間。
久しぶりに家族全員の時間が合ったので、家族の食事会。
黙々と食べていると、祖父母と和気藹々としていた父親が心配そうに聞いてきた。
「?、何かおかしい?」
「何か暗いね。どうしたの、蒼依」
特に何かあったわけでもないのに、父親に続いて、母親にもそう言われて、蒼依は祖父を見た。
祖父は「ふむ……」とこちらを見た後、
「何か悩み事か?」
と、落ち着いた声で尋ねてきた。
そう言われて、思い当たるのはひとつだけ。
「…………おじいちゃん」
「どうした?」
「おじいちゃんとおばあちゃんって、恋愛結婚、だっけ」
「ああ。家のしがらみが鬱陶しかったが、自分の命と家出を賭けたら、許されたんだ」
「普通に考えたら、賭けるものおかしいよ。父さん」
「仕方ないだろう。そこまで言わないと、あの頑固な夫婦は認めてくれなかったんだから。俺はもう、彼女としか生きていくつもりなかったし」
ふん、と、ふんぞり返る祖父。
その横で顔を赤くする、祖母。
いつまで経っても仲良しなふたりを見て育った父親は、
「その気持ちはわかるよ。俺も紫帆(シホ)じゃないと、ダメだったから」
「だから、反対しなかっただろう」
真っ直ぐに、妻に対して愛を伝える青年に成長し、学生時代に出会ったというふたりは紆余曲折を経て、結婚。
色々なことがあったはずだが、今も仲良し夫婦。
「結婚の話題を出すということは、結婚したい相手が出来たの?」
いつも通りの妻自慢が始まったのを話半分で聞きながら、食事を口に運んでいると、察しの良い母親が優しい眼差しで聞いてきた。
「ええ、まあ……プロポーズ、結婚前提で交際を申し込みました」
「あら、御相手は聞いても良い?慎重な貴方がそんな、急に結婚前提なんて。一目惚れ?」
「……初恋、です。ずっと探していて、やっと見つけたから。気が流行りました」
「まぁ。珍しいのね」
「相手は……」
蒼依は名前を口にしようとして、躊躇った。
キラキラと底抜けに輝いていた彼女は、“変わった”。
その理由に気づいた自分は、彼女に悟られていないだろうか。
「蒼依、何かあったのか」
家族での食事の時間。
久しぶりに家族全員の時間が合ったので、家族の食事会。
黙々と食べていると、祖父母と和気藹々としていた父親が心配そうに聞いてきた。
「?、何かおかしい?」
「何か暗いね。どうしたの、蒼依」
特に何かあったわけでもないのに、父親に続いて、母親にもそう言われて、蒼依は祖父を見た。
祖父は「ふむ……」とこちらを見た後、
「何か悩み事か?」
と、落ち着いた声で尋ねてきた。
そう言われて、思い当たるのはひとつだけ。
「…………おじいちゃん」
「どうした?」
「おじいちゃんとおばあちゃんって、恋愛結婚、だっけ」
「ああ。家のしがらみが鬱陶しかったが、自分の命と家出を賭けたら、許されたんだ」
「普通に考えたら、賭けるものおかしいよ。父さん」
「仕方ないだろう。そこまで言わないと、あの頑固な夫婦は認めてくれなかったんだから。俺はもう、彼女としか生きていくつもりなかったし」
ふん、と、ふんぞり返る祖父。
その横で顔を赤くする、祖母。
いつまで経っても仲良しなふたりを見て育った父親は、
「その気持ちはわかるよ。俺も紫帆(シホ)じゃないと、ダメだったから」
「だから、反対しなかっただろう」
真っ直ぐに、妻に対して愛を伝える青年に成長し、学生時代に出会ったというふたりは紆余曲折を経て、結婚。
色々なことがあったはずだが、今も仲良し夫婦。
「結婚の話題を出すということは、結婚したい相手が出来たの?」
いつも通りの妻自慢が始まったのを話半分で聞きながら、食事を口に運んでいると、察しの良い母親が優しい眼差しで聞いてきた。
「ええ、まあ……プロポーズ、結婚前提で交際を申し込みました」
「あら、御相手は聞いても良い?慎重な貴方がそんな、急に結婚前提なんて。一目惚れ?」
「……初恋、です。ずっと探していて、やっと見つけたから。気が流行りました」
「まぁ。珍しいのね」
「相手は……」
蒼依は名前を口にしようとして、躊躇った。
キラキラと底抜けに輝いていた彼女は、“変わった”。
その理由に気づいた自分は、彼女に悟られていないだろうか。