これが愛じゃなければ




『お父さんとお母さんね、事故だったの。飲酒運転の車がね、反対車線から突っ込んできた……それで、即死だった。でもね、お父さんとお母さんがいたから、近くの歩行者とか他の車の方は無事だったのよ』

お墓参りしながら、輝が話してくれた御両親のこと。
墓前に参ったのは、輝との1度きり。

彼女は、御両親の月命日には現場でも祈っていた。
多忙な彼女は予定が合えば、月命日も墓前に来ていたようだが、彼女の忙しさから、その時間は睡眠に当てた方が良いと、燈さんに止められていたらしい。

その代わり、命日やお盆、お正月には墓前に来れるようにしていると言い、燈さんは毎月、月命日に輝の分も御両親に会いに来ていた。

(……次は、どんな花を持ってこようか)

今日、蒼依は【ピンクのカーネーション】を用意した。
元々、供えてあった【ピンクのスターチス】と混ざり合い、とても華やかだ。

彼女はピンクが好きで、それを知っていたから、用意した花だったが、ここには御両親も眠る。

『お母さんはね、フリージアが好きだったよ。お父さんはガーベラ!家族でお花育ててたもん!私はすぐに飽きちゃった、というか、体力が無さすぎて続かなかったけど、お姉ちゃんは、今でも大切にしてるはずだよ』

……その庭も、今はもう。

「燈さん」

優しく頭を撫でながら、未だに涙が止まらない彼女に話し掛ける。

「一緒に、花を育てましょう。輝から貴女がとても得意だと聞いていたんです」

「……っ、、」

小さく頷く彼女。
そんな彼女を抱きしめる腕に、少しだけ力を込めて。

「ありがとうございます」

蒼依はそう、囁いた。


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