吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 私も同じ。タイプかもしれない。

 今にもよだれが出そうな口元をさり気なく手で隠し、深緋は射抜くように男を見つめた。

 あの男の血は、きっと美味しいに違いない。久しぶりに、腹の(・・)トキメキを感じた。

 このところどういう訳か、だれの血を吸っても美味しく感じないのだ。なので、見目麗しいあの男の血に、俄然食欲が湧いた。

 男はどこの誰なのか。どの駅で降りるのか。とりあえず調査が必要だ。近日中にあの男から吸血してやる。

 次なる標的(ターゲット)を決めて、今日のところは大人しく電車から降りた。

 深緋の趣味は見た目の良い男から血を吸うことだ。いや、趣味というよりこれは本能かもしれない。

 祖母には散々と止められているが、恋という未知なる感情を知って、世にも甘く美味しい血にありつく。密かに抱いた(ゴール)へと辿り着くための、言わば通過儀礼のようなものだ。

 これを繰り返すうちにきっと本物に出会えるはず。運命のハニーブラッドに。

 ……そう思ってかれこれ二十年が過ぎたのだけど。

「なんだよ、その百面相。さっきから呼んでるのに返事しろよ?」

 考えごとに集中し過ぎて、白翔の声が今になって届いた。

「あれ、白翔。まだいたの?」
「そりゃいるだろ、目的地学校(いっしょ)なんだから」

 差した日傘の向こう側に、眉を下げた呆れ顔の彼。意識高い系と俗称すべきだろうか、白翔は身だしなみにきちんとした男子だ。
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