吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 りり子を義両親(りょうしん)に預けた際「白翔には知らせないで欲しい」、そう頼んだものの、やはり義母(はは)はただならぬ深緋の様子が気になり、白翔に電話をかけたそうだ。一度二度では繋がらず、残されていた留守電を聞いたと言う。

 午後十一時四十分を過ぎてから深緋に電話をかけたけれど、繋がらない。急を要すると理解し、白翔はそのまま仕事を切り上げて帰路を辿った。

 スマホと腕時計の位置情報を確認しながら、一度自宅へと帰り着き、夫婦の寝室に置かれた白い封筒に気がついた。中に入った三枚の写真を見て、おおよその概略(あらまし)を理解した。白翔の頭に織田 将吾の名前が浮かんだ。

 スマホアプリのGPSが同じ場所から動かなくなったことから、そこで連れ去られたのだと予想し、腕時計の方を頼りに車を走らせた。途中、警察へも通報した。

 昨夜から寝ずに動いていたから、あのタイミングで駆けつけることができたのか、と。深緋は半ば感心する思いで夫を見つめた。白翔があの時間に駆けつけなければ、自分は今ごろ残虐な殺人鬼に殺されていただろう。

 織田に刺された背中の傷は手術によって縫われ、左手には親指を中心に、丁寧に包帯が巻かれていた。痛み止めを含んだ点滴が腕に繋がれ、あの激痛が緩和されている。
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