Dearest My Lady
低く落とされた声に、心臓が小さく跳ねる。
「こうして俺に甘えてくれるの……すごく嬉しい」
その言葉に、さらに胸がぎゅうっと縮まった。紬はそっと身を返し、少しだけ顎を上げて央を見上げる。
照れと愛しさが溶け合った眼差しが、まっすぐにこちらを捉えていた。
視界の先には、開けた庭園と、陽に照らされた緑。その向こうに続く広い空に、これから先の時間が重なって見える。
「ね、なっちゃん」
「なに?」
「私……すごく幸せだよ」
飾りのない言葉だった。それでも、静かに央の腕に静かに力がこもる。
「……私のこと、ずっと好きでいてくれて、ありがとう」
その答えに、央はほんの少しだけ声を落とし、囁いた。
「これからもだよ」
変わらない約束のように、穏やかで確かな声音で続けた。
「その先もずっと——君は、俺だけの最愛の女性だよ」
その言葉は、音もなく紬の中に溶ける。央のぬくもりだけが、やさしく満ちていく。
央が静かに距離を詰め、指先が紬の髪をなぞる。紬は逃げることなくその視線を受け止め、やがて、そっと口づけが交わされた。
ただ互いを想う気持ちだけが触れ合うような、世界でいちばん幸せなキスだった。
恋人だった時間を胸に抱いたまま、“夫婦”という名の未来へ、彼と歩いていく。
月城央という、誰よりも素敵で、誰よりも一途で、深い愛を注いでくれる男性に想われ続けながら。
——Dearest My Lady。
交わされた指輪の内側の刻印には、そんな彼の、最大級の愛の証が刻み込まれていた。
fin...


