あなたの1番になりたい。
ーあの子、何を考えてるか分からなくて不気味なの。
ー許してやってくれ。急に新しい母親が出来て、あの子も戸惑ってるんだ。
ーお前も新しいお母さんが来て戸惑っているだろ?お前さえよければ、高校生になったら一人暮らしをしてみないか?
暗闇の中で、鮮明に映像が流れてくる。
あの日。
父親から家を出ていくように言われた日。
何も見たくない。
何も聞きたくない。
もう、何も…。
ーガッシャーン、
大きな物音でハッと目が覚めた。
浅い眠りのせいか、悪夢を見てしまった。
ふと、目元が濡れているのに気付き、軽く手で拭う。
「ッイタタタ〜」
手で涙を拭っていると、カーテンの向こうで間抜けた様な男子生徒の声が聞こえた。
上体を起こし、閉めていたカーテンの隙間から、声のする方向へ盗み見ると。
体操服を着た生徒が肘を怪我した様で、消毒用の綿を掴んでいたピンセットを落とした様だった。
んー、あの顔…。
どこかで見た顔だ。
「あっ、…っ、」
私が声を上げたと同時に、開いていた窓から強い風が吹き込み、閉めていたはずのベッドのカーテンが、風に押されて開いた。
おろしていた胸まである私の髪の毛を風が強く靡かせる。
「あっ、」
その様子を見ていた男子生徒の低い声が私を捉えた。