あなたの1番になりたい。
「キミ!昨日、結城と一緒にいた子だよね!」
体操服が土まみれで右肘と両膝を怪我した男子生徒が、アルコール綿などの消毒セットが置かれている台の前にある丸椅子に座りながら、こちらに向かって言葉を発する。
「こんにちは…」
この人、昨日の朝、結城先輩へ声掛けてた騒がしい人だ、と思いながら小さく挨拶をした。
「ちょ〜ど良かったわ〜。ちょっと、こっちに来て手伝ってくんね?」
「え?」
「いいから、いいから〜。利き手を怪我して、上手く消毒出来ねーの」
しぶしぶベッドから降りて、結城先輩の友人Aの前へと移動すると、よろしく、と言ってピンセットを友人Aが差し出してきた。
はぁ、めんどくさい…と心で悪態を付きながらピンセットを受け取り、クルクル回る移動式の丸椅子に座って友人Aの前へと移動した。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「…宮野です」
偽名を使っても結城先輩伝いですぐバレるだろうから本名を名乗りながら、ピンセットでアルコール綿を掴み、前屈みになって右膝から消毒していく。
「宮野ちゃんね〜。宮野ちゃんって、結城のかの、…っイテ!」
友人Aがくだらない事を言う前に、思いっきり右膝に消毒綿を押し付けた。
「…絆創膏の準備をお願いします」
「はいは〜い、もっと優しく、ね」
相当痛かったのか、少し上擦った声を出す友人A。
身体を起こして、少し赤色に滲んだ綿を掴んだピンセットを台の上に置き、
友人Aから絆創膏を貰おうと、視線をここで初めて彼の顔へと向けた。
「っ、」
「…?」
伊吹さんや結城先輩とはタイプが異なり、可愛い顔をしてゆるふわパーマを掛けた栗色髪の友人A。
そんな友人Aの顔がびっくりした様な顔になっている。
そんなに痛かったなんて。
「強く押し付けてすみません…」
少しの申し訳なさを感じ、友人Aの目を見つめながら謝った。