(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
大学では高校時代に興味を持った児童教育学科で幼稚園教諭一種免許を取得するための勉強と、アルバイトに明け暮れていた。

その後、就職してからは自身の生活に手一杯になり、母の実家から自然と足が遠のいていた。

祖父が亡くなってからは、余計に訪れる機会が少なくなっていた。

就職を希望する園には募集がなかったことと、金融業界にも多少なりとも興味があったり、両親にも勧められたので就職先には銀行を選択した。

実家は都内から一時間半近くかかる場所にあり、独り暮らし先を探していたところ、偶然庭園の前を通りがかった。

優しく穏やかな空間に心奪われていたとき、話しかけられた。

それが城崎さんとの驚きの再会だった。

城崎さんから、この庭園は祖父と共同で手掛けたものだと聞いてさらに驚いた。

祖父から生前、そういった話を聞いた記憶は微かにあったが、まさかここだとは思わなかった。

懐かしい祖父との思い出が蘇り、仕事で悩んだときや疲れたときなどは癒しにもなるので、よく庭園を訪れている。

結局独り暮らしのマンションは庭園からの近さを一番の理由に選んだ。

現在七十代半ばの城崎さんは、過去に板谷ホールディングスでの勤務経験があるらしい。

てっきり造園業一筋だと思っていたので驚いた。

造園業は、祖父とともに若かりし頃に学んだと教えられた。


『あいつほどの腕やセンスはないが、趣味の延長のようなかたちでずっと造園にはかかわってきたんだよ』


目を細めて話す、城崎さんの穏やかな声を今もよく覚えている。
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